沖縄県の新型コロナウイルスの感染防止対策は、まん延防止等重点措置へ移行するはずが、急転直下、緊急事態宣言の再延長方針が固まった。期間は8月22日までとされ、5月の宣言適用から3カ月間に及ぶ。まん延防止等重点措置への移行を提言していた専門家から不満が漏れる一方、延長に理解を示す医療関係者もおり、評価は割れる。感染対策を続けても緊急事態を抜け出せない状況に、県民の口からは徒労感が漏れる。観光シーズンの最盛期に自粛を再び求められ、県経済への不安も強まっている。
緊急事態宣言の再延長のニュースが駆け巡った7日午後7時50分、那覇市の国際通りでは土産品店の従業員らが閉店作業を進めていた。50代の女性従業員は「え、びっくり…」と言葉を失った。アパレル店に務める男性(28)=糸満市=は「ある程度予測はしていたが、来月22日までは長過ぎる」と驚いた。
世界自然遺産候補地を巡るツアーバス「やんばる黄金号」で運転手を務める男性(50)は戸惑いを隠せない。同バスは現在運行を中止しており、宣言の解除予定だった12日の再開に向けて準備を進めていた。「また振り出しに戻ってしまう。ワクチン接種済みのガイドや地元の人だけでもツアーに参加できるようにならないのだろうか」と悩んだ。
与那原町に住む女性(33)は「今月は4連休もあり、新規感染者が下げ止まっている中、まん延防止等重点措置に移行するのは正直不安だった」と吐露する。一方で「政府が県の要望を尊重せずに延長を決めたことには違和感がある」と首をかしげた。
石垣市内で居酒屋を営む男性(46)は「これ以上の協力はできない」と吐き捨てるように話した。「これまでもコロナの感染防止対策に協力してきたし、今後もしたい気持ちもある。それでも個人経営の店なので、さらに長期化するとなると、協力していくのは難しい」と話し、ため息を漏らした。
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