【識者談話】金武水道水にPFAS 母子の検査が急務(小泉昭夫京都大学名誉教授)


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 大阪府で2003年、汚染された淀川から取水した水道水に1リットル当たり約40ナノグラムの有機フッ素化合物が含まれ、住民の血中から平均30マイクログラムが検出された。世界最高レベルの高濃度だったが、金武町住民はこれ以上の濃度が懸念される。

 大阪で直接的な健康被害は調査されていないが、海外ではこのくらいの濃度で低出生体重児が増えるとの報告がある。実際、淀川の水を水道水に使う地域では低出生体重児が多かった。

 有機フッ素化合物は体内に蓄積し、排出まで4年ほどかかる。金武町で高濃度だったのが昨年6月までだったとしても、体内にはまだ残っており血液検査をすれば蓄積量が分かる。特に母子の検査を急ぎ、血中濃度や低出生体重児との関連を調べる必要がある。

 同時に汚染源の特定や除染責任を規定する土壌汚染対策法に有機フッ素化合物を登録させる必要がある。米国は同様の法律でこの化合物の扱いを定め、米軍も米国内の基地では国の責任で除染している。日本国内も同様にするべきだ。

(環境衛生学)


 

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