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衆院選沖縄1区の候補者が既に「当選」は偽情報 衆院選ファクトチェック


 10月31日投開票の衆議院議員選挙の沖縄第1区(沖縄県那覇市など)で、立候補している3人の候補者のうち、2人が「当選が決まりました」と記載された文書が投票日前の28日までに沖縄県内で出回っている。名指しされた候補者側が公職選挙法違反(虚偽事項等の公表罪)で刑事告発する事態にも発展している。公示とともに期日前投票が始まっているが、投開票日は31日で開票はまだなされておらず、どの候補者も当選が決定した事実はない。この文書の情報は偽情報だ。

 沖縄1区には、共産党前職で衆院議員7期を務めた赤嶺政賢氏=れいわ推薦=と、自民党前職で衆院議員3期を務めた国場幸之助氏=公明推薦、さらに無所属前職で衆議院を6期務めた下地幹郎氏(届け出順)の3氏が立候補している。

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■沖縄1区の候補者3人とは

 赤嶺氏は、那覇市議3期、党県委員長を歴任し2000年に衆院議員に初当選。革新勢力と保守の一部が合流した「オール沖縄」勢力として14年、17年と小選挙区で連勝した。今回の選挙では1区と比例九州ブロック(名簿順位1位)で重複立候補している。

 国場氏は、2000年に最年少の27歳で沖縄県議に初当選した。県議から3度目の挑戦だった2012年に小選挙区で初当選した。14年、17年は比例復活を果たした。今回の選挙では1区と比例九州ブロック(名簿順位25人同一3位)へ重複立候補している。

 下地氏は2005年に自民党を離党し同年の衆院選は無所属で当選。09年は国民新党から出馬し当選した。14年の沖縄県知事選に出馬し敗れた。14年と17年は維新から出馬したが落選し比例復活した。今回の選挙は無所属の立場からで比例登録はない。



 ■文書で書かれていたこととは…

 2氏の「当選」を伝える文書では「この選挙、オール沖縄の共産党候補は比例一位で当選、自民党候補は比例復活三度目はないと言われながら、今回も比例三位で当選が決まりました。」と2氏の当選が開票前にもかかわらず既に決まったかのように記している。その後に続けて「下地ミキオには比例はありません。選挙区で当選させていただくしか道はありません。」と支援を呼び掛ける形になっている。

 文書は「会員の皆様へ」と題して「下地ミキオ」名で出されている。ネット上でも取りざたされている。 下地氏の選挙事務所に取材したところ、担当者は「後援会として、会員の皆さんに手紙を送ったものだ。(下地氏が)選挙区で勝たなければ当選できないというのは事実だ」と話し、文書を送付したことを認めた。


下地幹郎氏の後援会が会員向けに送った文書

■「当選」とは…

 これまでメディアの報道では世論調査や情勢分析などを踏まえて、どの候補者が「リード」「優勢」で、どの候補者が「追い上げる」などの表現は見られるが、有権者の投票結果として「当選した」とは記載していない。

 総務省はホームページで、小選挙区選挙における当選とは「候補者個人に投票して、得票数の最も多い候補者が当選人に決まります」と説明している。 さらに比例代表選挙については「選挙区(ブロック)ごとに各政党等の得票数に基づいてドント式により、その当選人の数が決まります。政党等が届け出た候補者名簿には、各候補者の『当選人となるべき順位』が記載されているので、その順に当選人が決まります。」と説明している。https://www.soumu.go.jp/2021senkyo/qa/

 ここでドント式とは、各政党の得票数を1,2,3…と整数で割って得られる商の中から、大きい値から順番に数えてブロックの定数まで当選者を数えていく。この商が各政党に配分される当選者の数となる。重複立候補で同一順位の場合は、選挙区での当選者の票数に対する得票数の割合(惜敗率)で順番が決められる。  

■「当選」とされた陣営は…

 文書は、赤嶺氏が「比例一位で当選」、国場氏は「比例三位で当選が決まりました」と断じている。だが、開票前の時点で選挙区での状況はもちろん決まっていないし、さらに比例の名簿に登録された候補者の当選が確定することも絶対にありえない。

 国場氏側は後援会の具志孝助代表が28日付で、下地氏を被告発人として、公選法235条第2項(虚偽事項等の公表罪)違反で那覇警察署に刑事告発状を提出した。告発状では、他の候補者を当選させないように画策して不特定多数の有権者に文書を配布したと訴えている。

 赤嶺氏の選挙事務所は取材に対して、公選法違反の刑事告発を検討していると回答した。

(滝本匠 大嶺雅俊)



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