名護市辺野古の新基地建設を巡り、沖縄県の玉城デニー知事は25日、沖縄防衛局の設計変更申請を不承認とした。県の不承認の理由をまとめた。
【不承認の理由】
<埋め立ての必要性>工期長期化 合理性なし
県は政府の予定通りに新基地建設が完成したとしても米軍が使用するまでには早くとも12年がかかるとして、当初の目的だった米軍普天間飛行場の危険性の早期除去が実現できないと指摘した。さらに軟弱地盤に起因する難工事で工期はさらに長期化する可能性もあると主張した。公有水面埋立法第4条1項1号の「国土利用上適正かつ合理的なること」と定めた要件に適合せず、埋め立てをする合理性が認められないとした。
防衛局は当初、埋め立て承認を得た際は埋め立てに要する期間を5年としていた。設計変更申請では、飛行場整備までさらに9年3カ月を要するとした。最終的に米軍が使用するまでには早くとも12年はかかる計画となる。
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<環境保全>調査が水準満たさず
県は埋め立て事業計画周辺に生息する国指定天然記念物のジュゴンについて、南西諸島に生息する地域個体群が絶滅危惧種と評価されているため、可能な限り埋め立て工事がジュゴンに及ぼす影響についての情報収集と、実行可能な範囲内で環境保全措置を実施する必要があるとする。
その上で影響に関する情報収集において、埋め立て工事により多数の船舶が航行するなどの変化があるにもかかわらず、水中音調査や予測値と実測値の比較も実施していないと調査手法が必要な水準を満たしていないとした。
また、ジュゴンの生息域に変化が生じていると指摘。変更前の環境保全図書と同様の手法でジュゴンへの影響を予測・評価しているとし、的確に環境保全措置が検討されているとは認められないなどと評価した。
地盤改良に伴う盛り上がりについても、地盤が盛り上がる箇所の調査が実施されていないとして、環境に及ぼす影響に関して適切に情報収集されていないとした。
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<軟弱地盤>災害防止の配慮不十分
公有水面埋立法第4条第1項第1号は、埋め立て事業の要件を「国土利用上適正かつ合理的なること」と定めている。一方、沖縄防衛局は軟弱地盤が確認されたことを踏まえて設計概要変更申請を出しているが、県は「地盤の安定性等に関して、最も重要な地点において必要な調査が実施されておらず、災害防止に十分に配慮した検討が実施されていない」と指摘した。
県によると、軟弱地盤の最深部(90メートル)が位置する地点で、地盤改良をしようとしても現在の技術では70メートルまでしか実施できない。だが、未改良層となる20メートルに関し、必要な力学的試験がされていない。
施工時の地盤の安定性について「不確定性をどのように配慮したのか不明」とし、合理的な説明がなされていないとしている。その結果、沖縄防衛局の申請は、公有水面埋立法の要件に適合しているとは言えないと指摘した。
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