沖縄米軍クラスター207人に 知事が外出禁止を要請しているのに…米兵が飲酒運転疑い逮捕


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キャンプ・ハンセンを出て飲食店街を歩く米兵ら。3人のうち2人はマスクをしていない=21日午後6時ごろ、金武町金武(ジャン松元撮影)

 米軍キャンプ・ハンセンで新型コロナウイルスの大規模クラスター(感染者集団)が発生する中、沖縄署は21日未明、同基地所属の米海兵隊上等兵を道路交通法違反(酒気帯び運転)の容疑で現行犯逮捕した。県はハンセンに勤務する全軍人・軍属の基地外への外出禁止を求めているが、大規模感染の発覚後も同基地所属の米兵らが行動制限なく基地内外を行き来し、飲み歩いている状態が露呈した。玉城デニー知事は21日、ハンセンからの外出禁止や米本国からの異動停止など感染防止対策の徹底を日米双方に申し入れた。

【写真】ノーマスク米兵が街へ 知事要請後も「問題ない」

 21日はハンセンで21人の新型コロナ感染が確認され、同基地での感染者の累計は207人となった。基地内で新型コロナの新変異株、オミクロン株の感染が広がっている可能性が指摘されている。

 玉城知事から電話で申し入れを受けた在沖米軍トップの四軍調整官ジェームズ・ビアマン中将は、「これ以上感染が拡大しないように、積極的にこの事態に対処していく」などと述べたという。オミクロン株を基地内で検査する体制については、「在日米軍と日本政府の間で、どのように取り扱うか検討中だ。何らかの合意が近くなされる予定だ」などと述べた。

 沖縄署によると、酒気帯び運転で現行犯逮捕されたハンセン所属の海兵隊員は20日午後11時47分ごろ、北谷町美浜の国道58号で、基準値(呼気1リットル当たり0・15ミリグラム)を約4倍上回る酒気を帯びた状態で車を運転した疑い。巡回中のパトカーがスピードを出して走行している車を発見し、職務質問したところ、酒気帯び運転が判明した。海兵隊員は「酒を飲んだことに間違いない」と容疑を認めているという。21日に釈放された。

 21日夕に記者会見した玉城知事は、米軍基地で起きている大規模感染に対する厳格な対処を日米双方に申し入れた際のやりとりなどを発表し、「非常に脅威に思っている。米側の持ち込んだオミクロン株によって基地従業員に感染を広げるようなことがあっては絶対にならない」などと訴えた。

 こうした中、キャンプ・ハンセンに隣接する金武町の繁華街「新開地」では21日夜、平日ということもあり閑散としていた。基地から出てくるほとんどの米兵がマスクをしていたが、マスクを着用せずに飲食店などに出入りする米兵も一部いた。(池田哲平まとめ)


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