米軍、9月以降は全基地での出国時PCR義務を解除 行動制限中も基地間は移動


この記事を書いた人 Avatar photo 上里 あやめ

 新型コロナウイルス対策を巡り、在日米軍は23日、琉球新報の取材に対し、今年9月以降、米軍関係者がキャンプ・ハンセンを含む全ての在日米軍基地に入る際、米国出国時のPCR検査義務を解除していたと明らかにした。ハンセンの大規模クラスター(感染者集団)発生などを受け、日本への出発72時間以内の検査実施に方針を変えた。県保健医療部によると、米海軍病院は、ワクチンの2回接種者は入国後の移動制限期間中も割り当てられた基地内だけでなく、基地間の移動も認められていたと説明している。

 23日に県軍用地転用促進・基地問題協議会の要請活動で首相官邸を訪れた玉城デニー知事は検査未実施に「言語道断だ」と批判。出国時PCR検査義務の緩和に「非常にショックだ。厳格に行われているという認識だった」と述べ、検査の徹底と、在沖米軍基地内でゲノム解析をするよう日米両政府に求めた。

 在日米軍は日本政府や県に通告せずに水際対策を緩和していたことについて「米疾病対策センター(CDC)や米国防総省、米インド太平洋軍の手引きに従った」と説明。入国から5日たって検査で陰性が確認されていない関係者にはマスク着用を義務付けていることも強調した。

 在日米軍は、感染した米軍関係者の検体を米本国に送ってオミクロン株かどうかゲノム解析をする方針を示している。松野博一官房長官は23日の会見で、解析は「2週間程度、要する」と説明した。

 玉城知事は「迅速に手だてを打つため」として在沖米軍が海軍病院などで解析可能との認識を示し「1日もあれば判明する」と指摘。県側から解析のための試薬提供も検討していると明かした。

 政府が無料PCR、抗原検査の実施を検討しているとの情報を踏まえ「部局からの報告で沖縄県と大阪府が対象になるとの情報がある。政府と協力しながら取り組んで参りたい」と述べた。 (明真南斗、安里洋輔)

【関連ニュース】

▼一時は「世界最悪」レベルに…沖縄コロナこの1年

▼米軍、本国からの出国時に検査せず オミクロン株、シュワブでも

▼ワクチン接種者は行動制限緩く 基地内の移動は自由

▼オミクロン株、感染拡大防ぐには?医師に聞く 

▼米軍100人規模感染、部隊の入れ替えと連動

▼【深掘り】米軍が「抜け穴」オミクロン株 経路解明にも及び腰

▼「成田で陽性、沖縄入り」なぜ米兵すりぬけた