米軍、本国からの出国時に検査せず オミクロン株陽性、シュワブ従業員も


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 米海兵隊キャンプ・ハンセンの新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)問題で、林芳正外相は22日、感染者が発生した部隊が米国を出国する際、PCR検査を実施していなかったと明らかにした。県は同日、ハンセンで働く中部保健所管内在住の20代男性と、キャンプ・シュワブで働く宜野湾市在住の30代男性がオミクロン株に感染したと発表した。ハンセン以外の基地でも同株の感染が広がっている可能性がある。県内で確認されたオミクロン株の感染者は計6人となった。

 林氏はラップ在日米軍司令官と電話で会談し、強い遺憾の意を伝えた。林氏によると、部隊はワクチン接種済みであることを前提に、出国時と日本到着直後のPCR検査を省き、入国後5日目に実施していたという。ラップ氏は集団感染を深刻に受け止めているとして、日本に入国する米兵らに対して出国前の検査を実施する方針を示した。

 松野博一官房長官は同日の会見で、陽性が判明したハンセンの米兵らの検体を米本国に送りゲノム解析を実施すると明らかにした。玉城デニー知事はオミクロン株の感染拡大の兆候があれば、直ちに対策を取る意向を示した。

 県によると、同日オミクロン株の陽性が判明した20代男性と30代男性は入院に向け自宅療養中。陽性者との接触はないため感染経路は不明。県感染症対策課の嘉数広樹課長は「調査の中でシュワブの方がハンセンとの関わりがないことが分かった。シュワブの中でオミクロンが流行している可能性は否定できない」と述べた。

 デルタ株の検査で陰性が判明し、オミクロン株の可能性がある、ハンセンの基地従業員3人と濃厚接触者1人について県は検体のゲノム解析を進めている。

 ハンセンでは22日、新たに17人の感染が確認され、感染者の累計は223人となった。このほか嘉手納3人、普天間1人、フォスター1人、トリイ通信施設1人の感染も判明した。(吉原玖美子まとめ)


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