りゅうぎん総合研究所は9日、沖縄の労働需給問題に関する調査レポートを発表した。人手不足への対応策として、全国と比較して特に失業率が高い若年者(15~34歳)に着目。若年の失業者数を約1万人前後と推計し、人材確保に向けて職業能力開発校での訓練メニューを企業や社会のニーズを踏まえ柔軟に見直すことや、定数拡大に向けた予算措置、訓練期間中の経済的支援などが必要になると提言した。
人手不足の対応策を、(1)DX(デジタルトランスフォーメーション)の導入(2)女性・高齢者の活躍(3)外国人材の活躍(4)若年労働者の活躍―の4点に整理した。このうち(4)について、沖縄の若年者の失業率が全国より特に高いことに特に着目し、現状の施策や必要となる対応策をまとめた。
県内の年齢階級別の失業率などから、15~34歳の若年の失業者を約1万人と推計。失業につながる離職を防ぐ対策として、全国より遅い傾向がある高卒の採用時期の早期化などを挙げた。
一方、離職者の就職を促すために、専門性の高い技術を身につけた人材創出を進めるべきだと指摘。県内の職業能力開発校などの役割の拡大が重要になるとして、女性が入校しやすい環境整備を含め、人手が特に不足する分野など企業ニーズに合わせた訓練科の見直しを求めている。
りゅうぎん総研の豊田良二社長は「経済界や産業界も交えて議論し、訓練内容の柔軟な設定が必要になる」と説明した。
また、訓練機会を提供するこうした施設に入校、入所できるのは応募者の65%にとどまることにも触れ、予算措置の増額や訓練期間中の経済的な支援の充実などで訓練生を増やすことを提言した。
(當山幸都)