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【記者解説】自衛隊施設の増強、投入額の高さ際立つ 15旅団の師団化で増す県内負担 2024年度予算案


【記者解説】自衛隊施設の増強、投入額の高さ際立つ 15旅団の師団化で増す県内負担 2024年度予算案 観閲行進する陸上自衛隊15旅団指揮下の八重山警備隊員ら=26日、陸上自衛隊那覇駐屯地
この記事を書いた人 Avatar photo 明 真南斗

  >>>宮古島への電子戦部隊配備、うるまで訓練場整備の土地取得費を計上 24年度沖縄関係防衛予算

 防衛省は24年度予算案で県内の自衛隊施設整備に約473億円を計上し、県内の自衛隊増強方針をこれまで以上に鮮明にした。県内に駐屯する陸上自衛隊第15旅団を増強して規模の大きい師団に格上げする計画により、県内での訓練が増加することも判明した。

 県内での施設整備費は都道府県別で2番目。最高額の北海道は土地面積も広く、全国4割の自衛隊施設を抱えていることを踏まえれば、県内での投入額の高さが際立つ。内容面でも新設や既存施設拡張、装備更新など強化する方向性が顕著だ。

 うるま市石川のゴルフ場跡地に陸自の訓練場を整備する理由について、防衛省は第15旅団の人数が増え、訓練の必要性が増えると説明する。普通科連隊が一つから二つになれば、訓練も倍増するとの考え方だ。安保3文書の閣議決定から1年が経過し、師団化の具体的な影響が明らかになってきた。

 ヘリや空砲の使用についてうるま市と協議する考えを示している。市の対応が焦点の一つとなる。

 自衛隊関係者は「(訓練場)外部に影響が出ないように運用する」と強調する。ただ、自衛隊はこれまでも演習などで施設外でも訓練しており、普通科連隊の倍増で民間地での訓練も増す可能性がある。

 沖縄は戦後、米軍基地の過重な負担を負ってきた。政府も重視するとしてきた沖縄の基地負担軽減は足踏みする中で、自衛隊の増強で全体として負担はさらに増すことになる。政府が掲げる負担軽減策を進めても県内には全国の米軍専用施設の7割が残る。実効性の乏しい既存の計画ではなく抜本的に沖縄の負担を減らす策が必要だ。

(明真南斗)