辺野古の事業費「9300億円」に収まらぬ可能性も 「埋め立て承認」から10年 沖縄


辺野古の事業費「9300億円」に収まらぬ可能性も 「埋め立て承認」から10年 沖縄 辺野古新基地建設の工事が進む米軍キャンプ・シュワブ沿岸、中央奥は大浦湾=2023年12月撮影
この記事を書いた人 Avatar photo 知念 征尚

 米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設計画を巡り、2013年に当時の仲井真弘多知事が辺野古沿岸部の公有水面埋め立ての承認を表明し、27日で10年を迎えた。

 この間、3度の県知事選や19年に実施された県民投票などを通じて辺野古埋め立て反対の民意が繰り返し示されてきたが、国は工事を継続した。現在、13年に想定されていなかった設計変更などにより費用は増大しており、計画は変貌している。 


 大浦湾側の軟弱地盤改良工事に向けた設計変更申請の承認を巡っては、国は28日にも代執行を実施する予定だ。新基地建設事業は、国が県の許可権限を奪って工事を進める前代未聞の事態となっている。
 沖縄防衛局によると、11月末時点で辺野古側の土砂投入量は埋め立てに必要な約319万立方メートルの99・5%に当たる約318万立方メートルとなり、ほぼ完了した。
 一方、大浦湾側を含む辺野古新基地建設計画全体で必要となる土砂総量は2017万6千立方メートルが見込まれており、これまでの使用量は全体の15・76%にとどまる。

 当初の埋め立て承認から、軟弱地盤改良の設計変更などが必要となり、事業費は増大する懸念が強まっている。防衛省は19年、総事業費は約9300億円と説明した。地盤改良工事の追加で14年に説明していた3500億円から約2・7倍に膨れあがった。
 同事業では22年度末までに合計4312億円が支出された。まだ大浦湾側の工事に着手していない段階で総事業費の半分近い額が支出されていることになり、事業費のさらなる増額は不可避だ。9300億円でも収まらない可能性がでてきた。

 防衛省の計画によると新基地の運用開始は、設計変更の承認から最短で12年かかる。工事が予定通りに進んでも、普天間飛行場の返還は30年代となるのが確実だ。県は、辺野古新基地建設では政府が強調する「普天間飛行場の一日も早い危険性除去」にはつながらないとして計画見直しを求めている。

(知念征尚)