国の設計変更には、沖縄戦の激戦地だった本島南部からの土砂採取が盛り込まれている。沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表の具志堅隆松さん(67)は、遺骨の混じる土砂を新基地建設の埋め立てに使うことは「人道的に許されない」として、県に設計変更の不承認を求めてきた。玉城デニー知事は25日、「直接、今回の審査に反映はさせていないが、絶対あってはならないと考えている」と強調した。知事の発言に具志堅さんは「主張が届いたことは率直にうれしい。遺骨を守る、という観点から不承認の決定を歓迎したい」とほっとした様子で語った。
ただ、国は対抗措置を取るとみられる。具志堅さんは、防衛省に土砂採取の中止を求め、遺骨収集を所管する厚生労働省にも働き掛けを続けていくという。
約40年間にわたり、戦没者の遺骨収集に携わってきた具志堅さん。「戦争という国策の犠牲者の血や肉のしみ込んだ土を、新たな国策の米軍基地建設に使うのは、戦没者への冒とくだ」と言い切る。今年3月と6月、8月に沖縄や東京でハンガーストライキを実施。多くの県民や沖縄戦遺族にも共感が広がった。
全国1743の地方議会に土砂採取反対の意見書可決を求める要望書も送った。25日現在、全国で138議会が意見書を可決した。「本土でも理解が広がっていると手応えを感じる。沖縄だけの問題ではなく、全国の問題だと訴えていきたい」と力を込めた。
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