【宜野湾】米軍普天間飛行場の周辺で暮らす住民からは、知事の不承認を受けて「辺野古移設がゴールだとは思わない」と無条件返還を求める声が上がった。「返還が遠のくのなら情けない」と国と県の裁判闘争を歓迎しない住民もいた。
普天間飛行場に近い野嵩一区自治会の新城嘉隆会長は「知事の不承認表明に対して政府はどう出るのか。毎回答えが見えない政治をしている」とこぼす。23日には野嵩の民家玄関先に米軍オスプレイの水筒が落下した。「政府は危険性除去と言っているが(市街地で)飛行機が飛んでいること自体が危険だ。12年以上かかるとされる辺野古への移設がゴールだとは思わない」と無条件返還を訴えた。
「閉鎖・返還までさらに時間がかかることになるなら、私たちの苦しみが理解されていないと感じる」と語るのは、米軍普天間基地騒音被害第2次訴訟原告団の山城賢栄団長(82)=同市大謝名。数日前も深夜まで米軍機が飛んでいたといい「騒音も墜落の恐怖もある。しかし返還合意から25年が過ぎても1ミリも動いていない。本当に情けないことだ」と歯がゆさをにじませた。
宜野湾市で市民団体のメンバーとして活動する女性(71)は「国は次から次へと攻勢を掛けてきて、どんなことをしてでも強行すると思う。宮古島への地対艦・地対空ミサイルなどの弾薬搬入など、沖縄の要塞化が進んでいる。辺野古問題でも諦めずに抵抗する姿勢は示したい」と話した。
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