【動画】那覇の牧志公設市場 にぎわい再び、新たな歴史へ 新装開店 


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オープンし、大勢の買い物客らでにぎわう第一牧志公設市場=19日午前、那覇市松尾(小川昌宏撮影)

 「県民の台所」、人気観光地として長年親しまれてきた那覇市松尾の第一牧志公設市場が建て替えられ、19日午前にオープンした。新装開店を待ちわびていた多くの人々が訪れ、にぎわう施設内は活気に満ちあふれた。コロナ禍で打撃を受けた、まちぐゎー(商店街)の活性化や観光復興の起爆剤として、大きな期待を背負った市場が新たなスタートを切った。

 【写真】待ってたよ~!県民の台所「第一牧志公設市場」が新装オープン、84店入居 沖縄・那覇

 午前10時から市場前で式典が催され、関係者がテープカットをした。那覇市の知念覚市長は「人情味あふれる売り手と買い手の掛け合いの『相対(あいたい)売り』を継承するとともに、誰もが利用しやすい空間となるよう整備した。新市場が沖縄独自の生活文化が体験できる街歩きの拠点となることで、さらに活気があふれるまちぐゎーになる」と式辞を述べた。

 新市場は3階建て。精肉店や鮮魚店、食堂など84店舗が入る。1階店舗で買った食材を2階の食堂で調理してもらう「持ち上げ」が引き続き楽しめる。イベントなどに活用できる調理体験室や多目的室が新設され、沖縄の食文化を発信していく。バリアフリートイレや授乳室、多言語の案内表示も設置した。平和通りにあった商店街の案内所は市場1階に移転した。

 牧志公設市場は1950年、現在の場所に廃材で建設された。72年にコンクリートの旧第一牧志公設市場へと建て替えられたが、老朽化で2019年6月に営業を終了。同年7月から今月4日まで仮設市場で営業していた。旧市場や仮設市場は1日に約5千~6500人が訪れていた。

 新市場建設工事は20年6月に着手され、今年2月に完成した。当初は22年4月の開業を予定していたが、建設地が想定以上の軟弱地盤だったため、約1年延びた。旧市場解体、新市場建設などの建て替え事業費は約53億円で、国の特定事業推進費などを活用した。

(伊佐尚記)

 

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