【詳報】市長不信任決議案を否決 沖縄・南城市長セクハラ疑惑【市議会最終日ドキュメント】


【詳報】市長不信任決議案を否決 沖縄・南城市長セクハラ疑惑【市議会最終日ドキュメント】 古謝景春南城市長の不信任決議案に賛成の起立をする議員ら(手前)と議場を見つめる市長(中央)=18日午後2時18分、同市議会
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 古謝景春南城市長のセクハラ疑惑をめぐり、市役所内のハラスメントに関する特別委員会が設置された南城市議会は18日、2月議会の最終日を迎えた。古謝市長は疑惑を完全に否定する一方で、「(議場で)うそをついた」と言って説明を変えたり、被害を訴えた女性の個人情報を暴露したり、公人としての資質を疑われる言動を重ねている。議会で真相究明は果たされるのか。注目の1日をドキュメントにまとめた。

9:00  「真相解明を」 市民団体が市長らに抗議のスタンディング開始

古謝景春南城市長のセクハラ疑惑を巡り、南城市議会2月定例会の最終日が18日午前、開会した。開会前の午前9時から市内外の有志でつくる「ハートのまち南城 人権ファーストの会」のメンバーら25人が市役所前の沿道で、市長や市議会に抗議するスタンディングを実施した。

参加者は「個人情報SNSに流さないで」「市長は真実を述べよ」「ウソは見苦しい」「議会の役割は何?」といったプラカードを掲げて、セクハラ疑惑の真相究明や発覚後の市長の言動に対する怒りの声を上げた。

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抗議のスタンディングを実施する市民ら=18日午前、南城市役所前

10:00  本会議開会、古謝市長不信任決議案を提出

10時に本会議が始まった。開会に先立ち、野党・中立会派の6市議が古謝景春市長の不信任決議案を提出した。提出理由として「本来市民を守る公人、市長という権力者の立場にありながら、 その認識が欠如した常軌を逸する行為に及び、市民や行政、議会内に混乱を巻き起こし続ける張本人と化している」としている。

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2月議会最終日を迎えた南城市議会=18日午前

11:45 本会議を休憩、不信任決議案の審議は午後に

本会議は、2023年度一般会計補正予算案の採決などを先に行い、中村直哉議長は「休憩」を宣言した。午後1時20分に再開し、2024年度一般会計予算案の採決の後、古謝景春市長に対する不信任決議案の審議に入る予定だ。

13:20 本会議が再開

中村直哉議長が「再開」を宣言し、2024年度一般会計予算案の審議が始まった。予算案の審議の後、野党・中立会派の6市議が提出した古謝景春市長に対する不信任決議案の審議に入る。

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13:56 古謝市長不信任決議案の審議始まる

野党・中立会派の6市議が提出した古謝市長不信任決議案の審議が始まった。提案者を代表して、真南風会の宮城尚子氏が提案理由を説明した。

宮城氏は「市長によるセクハラ疑惑を巡る一連の事件に関しては、セクハラ被害を訴えた女性運転手が求めた第三者を入れた調査の拒否や契約解除書類への署名の強要など市の対応の問題及び、市長車運転業務委託契約に関する透明性の問題、さらにはマスコミ取材における古謝市長の女性に対する差別的発言や提訴に対する脅しと取れる発言など多岐にわたる問題が噴出し、これまで識者からも市長並びに市に対し多くの指摘がされてきた」と指摘。

「そのような中で市長は一切反省の様子も見せず、さらには被害を訴えた女性運転手に対してSNSや議会での個人情報の暴露や一方的な発言、探偵に依頼した監視行為など、本来市民を守る公人、市長という権力者の立場にありながら、その認識が欠如した常軌を逸する行為に及び、市民や行政、議会内に混乱を巻き起こし続ける張本人と化している」と述べた。

さらに、県警からの事情聴取に関して、取材に「(議場で)うそをついた」と述べて、発言を修正したことについても「神聖なる議会への冒涜であり、市民への冒涜そのものだ」と述べた。

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14:00 不信任決議案が読み上げられ、市民の一部から拍手

市長不信任案が読み上げられると、議場の外でモニターを見ていた市民の一部から拍手が出て「すごいねー」と声が上がる。

14:18 市長不信任決議案を否決

野党・中立会派の6市議が提出した古謝市長不信任決議案は、賛成7、反対11の反対多数で否決された。無会派の知念俊也氏は「決議に賛成できる部分もあるが、訴訟になっており、判断は時期尚早」と述べ、退席した。

採決に先立つ討論で、与党のゆまぢり会の新里嘉氏は、元運転手の女性に対するセクハラ疑惑については「(女性が提訴し)すでに司法の場に委ねられている」と説明。報道機関の取材に対する発言については、「これが事実なら軽率で、真に猛省すべきだが、これを持って不信任にあたるとは言えない」と反対する理由を説明した。

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市長不信任決議案を反対多数で否決した南城市議会=18日午後、南城市

14:19 野党・中立会派の8人が第三者委員会設置を求める動議提出

古謝市長不信任決議案の否決を受け、野党・中立会派の8人はハラスメント問題に関する第三者委員会の設置を求める動議を出した。

議会はその後休憩に入り、午後2時半現在、傍聴席に詰めかけた市民らは、市議会の行方を見守りながら再開を待っている。

傍聴席で市議会の行方を見守りながら再開を待つ市民ら=18日午後、南城市議会

14:52 第三者委設置を求める動議は取り下げに


野党・中立会派の8人が提出した「ハラスメントに関する第三者委設置」を求める動議について、中村直哉議長は、一度議決した案件は、同じ会期中には審議・審査しないという決まりである「一事不再議」の原則から「受け付けられない」と述べた。

特別委員会で、第三者委設置を求めた市民団体の陳情が「継続」になったからだ。与野党で断続的に協議し、提出者が取り下げた。その後、市民団体の陳情は正式に「継続」が決まった。

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14:58 本会議が閉会

南城市議会2月議会最終日の本会議が閉会した。

15:05 市長、無言で市長室へ

 本会議終了後、古謝景春市長は、無言のまま市長室に入った。市長不信任案が提出されたことや与党からも市長の言動に苦言が出されたことなどを報道陣から問われたが、答えなかった。

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市議会定例会を終え、議場を後にする古謝景春南城市長(中央)=18日午後3時4分、同市役所

16:35 野党・中立会派が臨時議会の招集請求

閉会後、野党・中立会派の市議8人は、第三者委員会を早期に設置するため、中村直哉議長宛てに地方自治法に基づき臨時議会を開くよう求める要請書を提出した。

臨時議会の招集を求める要請書を提出する中立の仲間光枝市議(左)と野党の宮城尚子市議=18日、南城市議会事務局