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「命、人権が優先されない」 戦後から変わらないが「あきらめてはいけない」 桑江優稀乃さん(歌三線奏者)<米兵事件続発 わたしの視点>1


「命、人権が優先されない」 戦後から変わらないが「あきらめてはいけない」 桑江優稀乃さん(歌三線奏者)<米兵事件続発 わたしの視点>1
この記事を書いた人 Avatar photo 狩俣 悠喜

 県内で米兵による女性への性的暴行事件が相次いで発覚している。事件発覚後、米軍基地所在市町村や教育関係機関、市民団体などは抗議の声を上げ、被害者へのケアや綱紀粛正、日米地位協定の抜本改定などを求めている。一方、事件を受けて、多くの県民は被害者に寄り添い、できることを思案し模索する。さまざまな分野で活動する人に事件をどう受け止め、われわれがどう動くべきか聞いた。

 被害者を思うと想像ができないほどの悲しみを感じる。政府や捜査機関は事件を公表しなかった理由をプライバシーの保護というが、米軍や政府の権力や地位、6月の県議選を考えた対応としか思えない。沖縄の人の命や人権を守ることが優先されない。怒りを覚えた。許せない。

 2022年に大学を卒業後、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前に初めて行った。座り込みをする人や県警の機動隊、警備員は沖縄の人が多い。県民が分断させられている現状はおかしいと感じた。

 このことが原体験となり、歌三線で平和をテーマにしたトークライブなどをしている。歌を交えると、平和をテーマにしたライブに興味を持ってくれる人が多いからだ。

 軍隊は戦場で人を殺すことが仕事だ。ベトナム戦争時は、沖縄では帰還兵による性暴力事件が相次いだ。戦争は兵士の精神をおかしくしかねない。彼らが所属する軍隊という存在は地域にとってリスクが大きい。

 私は、大人として被害者2人に申し訳なく思っている。沖縄の人の命と人権を軽んじる政府による不条理が通る社会の一員だからだ。平和な社会をつくることができていない責任がある。政府や米軍の理屈を優先するこの社会を変えたい。

 命や人権を脅かす社会はおかしい。戦後から変わらないからとあきらめてはいけない。小さな行動でもいい。例えば、米軍の事件や事故についてのニュースを友達と話すこともいい。一人一人の小さな一歩が、命や人権を尊重する社会づくりを進めると思う。

 (狩俣悠喜)