【辺野古問題取材班】米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を巡り、沖縄防衛局が大浦湾側の「A護岸」の造成工事に着手してから、20日で1カ月となる。工事を監視する市民らによると、現場海域ではこれまでに少なくとも9本の鋼管ぐいが海中に打ち込まれている。関係者によると、作業現場の近くには硬い岩盤があり、慎重に工事を進める必要があるという。
19日午前11時ごろ、大浦湾では強風で波が荒れ、くいを打ち込む作業は確認されなかった。大浦湾の工事作業を監視している沖縄ドローンプロジェクトの奥間政則さんによると、工事では「鋼管矢板」と呼ばれる鋼管ぐいを打ち込んで二重の囲いを作り、その中に埋め立て用の土砂を入れる。「あれだけ狭い海域に大きな台船が何台もあると、何かしら事故が起きるのではないか」と危機感を示した。
C1、C3護岸付近ではボーリング(掘削)調査とみられる作業船による土質調査が行われていることも明らかになっている。設計変更申請の段階で力学的な調査をしていなかったことが問題視された、軟弱地盤が最も深いとされる「B27」地点付近の調査をしている可能性がある。再度の設計変更につながる可能性を指摘する専門家の見方もあり、先行きは不透明だ。
県は環境保全対策などに関して事前協議が調っていないとして、防衛局に協議継続とその間の工事中止を求めて行政指導したが、防衛局は「協議は十分に尽くされた。今後は環境に配慮しながら工事を進める」と回答。県は今後対応を検討するとしている。