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デニー知事、県の要望反映求める 米軍事件協議枠組み「フォーラム」 米軍主導、実際の機能は不透明


デニー知事、県の要望反映求める 米軍事件協議枠組み「フォーラム」 米軍主導、実際の機能は不透明 深沢陽一外務政務官(右から2人目)に渉外知事会の要望書を手渡す黒岩祐治神奈川県知事(中央)、玉城デニー知事(左から2人目)ら=24日、外務省
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 相次ぐ米兵性的暴行事件を受け、リッキー・ラップ在日米軍司令官が新たな協議の枠組み「フォーラム」の創設を提案したことについて、玉城デニー知事は24日、都内で渉外知事会の要請活動後に取材に応じ「話し合いを持つ場が常設で新しくできるということについては前向きに受け止めている」と述べ、改めて一定評価した。一方、早期の幕引きを狙う米軍の思惑も透けており、新たな枠組みの内容が今後の焦点となる。玉城知事は「内容は意見交換をしながら決めたい」と述べ、県の要望を反映させたい意向を示した。 

 玉城知事は3日に単独で事件の抗議・要請に訪れた際に県として提出した要請書には、米軍関係者による事件防止を図る既存の「米軍人・軍属等による事件・事故防止のための協力ワーキング・チーム」(CWT)の早期開催を盛り込みつつ、口頭でCWT以外の枠組みを「再構築」することも提案していた。米軍がCWTの開催に難色を示しているという情報を得ていたためだ。

 現状で最後の開催となっている17年のCWTは、16年に発生した軍属女性暴行殺人事件後に開催。出席者からは米軍の行動指針「リバティー制度」の有効性への疑問などが挙がっていた。

 政府高官の一人はCWTが「メディアを入れて米軍を糾弾するための場になっているとして(米側は)嫌がっていた。CWTという言葉はもう使いたくないようだ」と述べ、新たな枠組みがCWTの代替になる可能性を示唆した。

 玉城知事は米軍が受け入れやすいような内容で提案することで実を取った格好だ。外務省関係者も「県からの要請を受けて米側に働きかけた結果だ」と語った。

 ただ、正面からの批判を避ける米軍が主導して新たな枠組みを設けても、実際に機能するかどうかは不透明だ。政府関係者の一人は「これまでの取り組みのまずさから目線をそらし幕引きを図りたいのだろう」と分析した。

 県関係者の一人は、広がる反発に「米軍も『何かしないとまずい』とは思っているのだろう」と米側の姿勢を受け止めた。別の関係者は「県側にも希望したいことはある。それが盛り込まれる形にしたい」と強調した。

 (明真南斗、知念征尚)