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松くい虫被害、2年で49倍 倒木など二次被害懸念も 久米島 沖縄


松くい虫被害、2年で49倍 倒木など二次被害懸念も 久米島 沖縄 電線に寄りかかる枯れ松=23日、久米島町大田(盛長容子通信員撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 新垣 若菜

 久米島町で松を枯死させる松くい虫被害が深刻化している問題で、2023年の被害体積が計1万864立方メートルとなり、初確認された21年と比べ、約49倍にも拡大していることが24日、分かった。土砂崩れや倒木による通行人、家屋などへの二次被害が懸念されるため、町では伐倒処理などを進めているが、対応が追いついていない状況となっている。

 久米島では21年に松くい虫(マツノザイセンチュウ)被害を初確認。県農林水産部森林管理課によると、21年の被害体積は219立方メートルで、被害本数は1200本だった。翌年の22年は2373立方メートルで2200本、23年には1万864立方メートルで9962本にまで広がっている。

 県や久米島町は防除対策会議を設置。町内を四つのエリアに分け、被害の封じ込めに取り組んだものの、山林や農道など被害の奥地化や労働力不足で、被害発生量に対して手が回っていない。

 今年2月の対策会議では、防除対策内容を変更し、国指定天然記念物の「五枝の松」や松並木がある西地区を最優先に防除することを決めた。県は「防除予算の支援のほか、人的支援なども久米島町と連携して防除対策に取り組む」としている。

 伐倒量は24年5月時点で、1428本にとどまっている。同町に住む50代女性は「被害が食い止められないのは仕方がない部分もある」とするものの、「枯れた松が自然に倒れて電線に絡んでいることがある。台風などによる倒木の危険性もある」と危機感を募らせる。

 県内では久米島町のほか、東村や恩納村でも松くい虫被害が大きく、23年は東村で1169立方メートルで2482本、恩納村では1204立方メートルで3436本の被害が確認された。

  (新垣若菜)