【名護】「やっとだ」。名護市辺野古の埋め立てに関する国の工事設計変更を、玉城デニー知事が不承認にした25日、辺野古の米軍キャンプ・シュワブのゲート前のテントで抗議活動をしていた市民らから喜びの声が上がった。一方、条件付きで米軍普天間飛行場の代替施設建設を容認する市民からは「どちらに転んでも地域の振興にはほとんど影響はない」と冷めた声も聞かれた。
「県も時期を見計らったのだろう。早く決断してほしいという思いはあったが、不承認が出ることを信じていた」。ゲート前でマイクを握って反対を訴えた名護市の浦島悦子さん(73)は胸をなで下ろす。その上で「国が県に対し法的手段に講じるなら、住民としても訴訟などで対応したい」と知事の決断を支える覚悟を示した。
名護市の会社員、嘉陽宗一郎さん(27)は「県民投票で辺野古の埋め立てに対しては反対だという民意が示されている」とした上で「県と政府が歩み寄れるよう、民意と法的に瑕疵(かし)のない手続きの折衷案を探るべきではないか」と指摘した。
辺野古商工社交業組合の許田正儀会長(72)は「(不承認は)翁長雄志前知事の後継知事としていつかはそうするだろうと予想はしていた」と淡々と話す。長引く県と政府の対立について「地域振興に及ぼす影響はほとんどない」と話す。「防犯カメラ設置や災害用の備蓄倉庫などに政府は予算を付けてくれたが、本来は基地に関係なく実施すべきものだ。復帰前とは違い、基地の街はどこも廃れてしまっている」と複雑な心境を語った。
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