沖縄のリゾートホテルサウナでととのう 「ワンランク上」を日帰り、回数券で地元客に<熱島!沖縄サウナ>1


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レクー沖縄北谷スパ&リゾートのドライサウナ(同ホテル提供)

 汗をかき、水風呂に入り、外気で涼む…その繰り返しで得られるリラックス状態を表す「ととのう」という言葉が2021年の「新語・流行語大賞」にノミネートされるほど、サウナは全国的なブームとなり、いまだ冷める様子はない。9割が「シャワー派」(県公衆衛生協会調査)とされる沖縄でもその熱がじんわりと広がっていることにお気づきだろうか。特にコロナ禍に見舞われた県内のホテルが、新たな冬の観光コンテンツとして、潜在的な県民サウナ―(サウナ愛好家)の掘り起こしとして、サウナに活路を見出している。連載「熱島!沖縄サウナ」では沖縄のあらゆるサウナや風呂を巡る新たな動きとその可能性に迫る。(野添侑麻、田吹遥子)

■「ワンランク上」の日帰りサウナ

レクー沖縄北谷スパ&リゾートの女風呂にあるスチームサウナ(同ホテル提供)

 近年開発が進み、今や沖縄屈指の観光エリアである北谷町美浜。若者たちでにぎわう商業施設「デポアイランド」内のホテル「レクー沖縄北谷スパ&リゾート」の大浴場とサウナが、いま県民サウナーたちの注目を集めている。

 2020年3月に開業した同ホテルは、オープン直後にコロナ禍に見舞われた。国内外の観光客は大幅に減り、当初想定していた売上には到底届かない。そこで、打開策として考えたのが、宿泊者限定としていた大浴場の一般開放だった。2020年9月下旬から平日午後3~8時限定で外来客向けの日帰り入浴をスタートさせた。

 元々大浴場をこだわり抜いて造っていたことも功を奏した。沖縄では少ない天然温泉に加え、サウナも併設している。日帰り入浴を始めたことで県内のサウナーたちの間で口コミで人気が広まり、現在は予想以上の来客があるという。

レクー沖縄北谷スパ&リゾートの大浴場(同ホテル提供)

 気になるサウナ室の温度は90度。クラシックが流れる室内では、いつも以上にリラックスした状態でサウナに向き合うことができる。五右衛門風呂の様な一人用の水風呂は水温14度と、県内の他施設より比較的低めに設定されており、サウナ後の火照った身体を素早く冷やしてくれる。パウダールームも多くの洗面所を設置して客同士の待ち時間を減らす仕組みや、高額のため家庭での使用機会が少ないダイソン製のドライヤーを設置するなど、トータルでワンランク上の体験が楽しめることが人気の理由だ。

レクー沖縄北谷スパ&リゾートのパウダールーム(同ホテル提供)

 西村孝俊総支配人によると「日帰り入浴を始める前から県民の皆さんから『サウナだけの利用はできないか』という問い合わせを度々いただいていた」という。「意外にも県民はサウナ好きが多いと感じ、今後もさらに多くの方に来ていただくチャンスがある」と、潜在客の掘り起こしに期待を寄せた。

■回数券で地元客にも

西海岸が一望できる展望風呂(Royal Hotel 沖縄残波岬提供)

 読谷村にある老舗リゾートホテル「Royal Hotel 沖縄残波岬」でも大浴場を強化する動きがある。「沖縄の冬にリラックスして楽しめる施設を」という思いから、既存の入浴施設の改修を4年前から計画。2020年7月、元の大浴場に2階部分を増築した展望風呂「湯くり」を満を持してオープンした。

 大浴場の露天風呂部分に新たな施設に通じる外階段を設置。階段を上ると、残波岬から西海岸を一望できる半露天の展望風呂が広がる。サウナ施設の改修はないが、ドライサウナに水風呂、そして露天部分と大浴場内に長椅子が設置されており、展望風呂と合わせてゆったりと体を休めることができる。

展望風呂から見える夕暮れの風景も売り(Royal Hotel 沖縄残波岬提供)

 しかし、こちらもコロナ禍に見舞われ、国内外の観光客が減少。一方で地元客向けには元々日帰り入浴のメニューもあったが、1回2000円というホテル価格に利用は芳しくなかった。そこで今年夏から導入したのが5枚で3500円の回数券。これを使うと1回700円で利用できる。企画担当の森根徹さんは「敷居が高いと感じる地元のお客様もいらっしゃったと思う。まずは回数券を使って入りに来てほしい」と話し、地元客の取り込みに意欲を見せた。

 

連載「熱島!沖縄サウナ」

~南の島でととのう~

 9割が「シャワー派」とされる沖縄でもサウナブームの熱がじんわりと広がっている。特にコロナ禍に見舞われた県内のホテルが、新たな冬の観光コンテンツとして、潜在的な県民サウナ―の掘り起こしとして、サウナに活路を見出している。沖縄のあらゆるサウナや風呂を巡る新たな動きとその可能性に迫った。

②カプセルホテルのサウナでととのう 那覇の中心、6時間入り放題「サ活」プランも

③アウトドアサウナでととのう 冬のプールは全て水風呂!沖縄観光の目玉になるか

④沖縄唯一のロウリュと熱波でととのう 観光客と地元客、両にらみの戦略

⑤沖縄で「ととのう」を根付かせたい 有名編集者や実業家も…「沖縄アウトドアサウナ協会」の野望

 

>>連載「熱島!沖縄サウナ」をまとめて読む


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