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沖縄唯一のロウリュと熱波でととのう 観光客と地元客、両にらみの戦略<熱島!沖縄サウナ>4


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立って入る珍しいスタイルの浴槽で、眼下に広がる青々とした沖縄の空と海、そして那覇空港第二滑走路に着陸する様子を楽しめる。またリラックス効果が期待出来るよう、水温は副交感神経を刺激する39度前後に設定されている。(リゾーツ琉球提供)

 那覇空港から車で15分ほどにある瀬長島。夜景とサンセットを楽しむことができ、ドライブスポットとして知られるこの小島に全国に名をとどろかせるサウナ施設がある。その名は「琉球温泉 龍神の湯」。塩泉が湧き出る島の立地を活用した露天風呂やサウナなどを備えた温泉施設だ。「今行くべき全国のサウナ施設」を11施設紹介する「サウナシュラン」にも2019年度に選出されており、県内外のサウナ愛好家(サウナ―)から注目を集めるサウナとなっている。

(野添侑麻)

>>リゾホのサウナ「ワンランク上」を日帰りで

 ホテルの開業は2012年。目の前はエメラルドグリーンのグラデーションが美しい東シナ海。慶良間諸島に沈みゆく夕陽や、那覇空港を離着陸する飛行機を見ることができる。

 運営を行うリゾーツ琉球株式会社経営企画部の大城知美さんによると「瀬長島から見えるきれいな景色を眺めながら温泉に入れたら最高だろう」という思いから、龍神の湯が誕生した。「観光客、地元客双方に喜んでもらえる温泉施設を目指した」とし、温浴施設は一般の日帰り客でも利用できる。

 リゾートホテルにもかかわらず、新型コロナウイルスの感染拡大前から地元客の取り込みも意識していた点――。それが、独自のコンテンツを生み出したのかもしれない。

■沖縄でここだけ!ロウリュ

 龍神の湯と言えば、沖縄県内で唯一のロウリュサウナだろう。

 ロウリュとは、熱したサウナストーンにアロマ水をかけ、蒸気を発生させて体感温度を上げるサウナ入浴法。龍神の湯では、その蒸気をうちわやタオルなどで仰ぎ、発生する「熱波」を全身で浴びる「アウフグース」というサービスを毎日5回受けることができる。

 全身がアロマオイルの香りと熱波で包まれた後は、汗を流してよく冷えた半露天の水風呂でクールダウン。心地よい海風を浴びながら休憩していると、深くリラックスした、いわゆる「ととのう」状態に入る。クセになる爽快感で、週に数回リピートする人もいるほど、反響が大きい目玉コンテンツだ。

「龍神の湯」でのロウリュの様子 (リゾーツ琉球提供)

■また来たくなる「楽しませる工夫」

 そのこだわりは、サウナだけにとどまらない。館内で使うアメニティにも力を入れている。洗い場には全9種類のシャンプー類を用意しており、訪れるたびに違う製品を楽しめる仕組みだ。オリジナル商品の開発にも取り組み、沖縄の特産品であるゴーヤーやモズク、月桃、シークワーサーの成分に温泉水を配合したアメニティは、香りもよく、地元客にも評判が良いという。

 さらに、毎月内湯を使って「チョコの湯」「泡盛の湯」「生リンゴ風呂」など、ユニークな入浴剤を加えたイベントも開催している。イベントはスタッフ全員で意見を出し合い、毎年精査しながら企画している。特に反響が大きかったのは「母の日に開催しているバラ風呂」だ。

 同施設の担当者は「いつ来てもお客様にも楽しんでもらえるよう、毎年内容に変化をつけて開催している」と、その狙いを説明した。

 沖縄にこれまでなかったロウリュや熱波の導入、豊富なオリジナルアメニティーに定期開催のイベント…。地元客を飽きさせず、リピーターを生み出す仕組みが龍神の湯の「勝利の方程式」とも言えそうだ。

昨年は600輪の生のバラの花を浴槽に浮かべることで一面のバラ畑を連想させる様な豪華なお風呂を演出した。(リゾーツ琉球提供)

■ノウハウ生かし、那覇でもサウナ付き

 リゾーツ琉球株式会社は2022年2月、那覇市辻に「HOTEL SANSUI NAHA 琉球温泉 波之上の湯」を開業した。那覇空港から車で約10分の場所に位置し、こちらも龍神の湯同様、一般客も利用できる天然温泉を備えている。

「HOTEL SANSUI NAHA 琉球温泉 波之上の湯」の内風呂(リゾーツ琉球提供)
「HOTEL SANSUI NAHA 琉球温泉 波之上の湯」の露天風呂(リゾーツ琉球提供)

 同ホテルの担当者によると、一番のこだわりは「温浴施設と屋外プールを併設して使えること」。「一般外来のお客様でも両方使用できる施設は、那覇市内でもHOTEL SANSUI NAHAのみです」とアピールする。

 天然温泉は、地下500メートルより噴出し、源泉は琥珀(こはく)色をした透明度の高い塩泉。男女ともに内風呂と外風呂があり、外風呂には男女ともにサウナが設置されている。

 サウナ室内は照明で色を演出し、入浴中のリラックス感を引き立てている。

 アクセスが良い那覇市の中心部近くに位置するこの施設も、県内外のサウナーから注目を集める施設になるだろう。

「HOTEL SANSUI NAHA 琉球温泉 波之上の湯」のサウナ(リゾーツ琉球提供)

 

連載「熱島!沖縄サウナ」

~南の島でととのう~

 9割が「シャワー派」とされる沖縄でもサウナブームの熱がじんわりと広がっている。特にコロナ禍に見舞われた県内のホテルが、新たな冬の観光コンテンツとして、潜在的な県民サウナ―の掘り起こしとして、サウナに活路を見出している。沖縄のあらゆるサウナや風呂を巡る新たな動きとその可能性に迫った。

 

①リゾートホテルサウナでととのう「ワンランク上」を日帰り、回数券で地元客に

②カプセルホテルのサウナでととのう 那覇の中心、6時間入り放題「サ活」プランも

③アウトドアサウナでととのう 冬のプールは全て水風呂!沖縄観光の目玉になるか

⑤沖縄で「ととのう」を根付かせたい 有名編集者や実業家も…「沖縄アウトドアサウナ協会」の野望

 

>>連載「熱島!沖縄サウナ」をまとめて読む


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