【プロローグ】辺野古新基地問題の原点、宜野湾市で100人に聞く 二項対立でくくれない多様で複雑な思い<歩く民主主義 100の声>


【プロローグ】辺野古新基地問題の原点、宜野湾市で100人に聞く 二項対立でくくれない多様で複雑な思い<歩く民主主義 100の声>
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 名護市辺野古での新基地建設をめぐる県民投票からまもなく5年。民意を無視した強引な手続きが幅をきかせ、沖縄県内各地では軍事化も急速に進む。県民はいま何を考えているのか。記者が歩いて「100の声」を集め、民主主義の原点を見つめ直す企画を始める。最初に向かったのは、問題の原点である米軍普天間飛行場を抱える宜野湾市だ。

 調査は11月10~21日に宜野湾市内の街頭や戸別訪問で実施。(1)辺野古新基地建設への賛成・反対(2)辺野古建設は「普天間早期返還のため」という政府説明を信頼するか、の2問に回答する人が計100人に達するまで続けた。

 「賛成・反対」「信頼・不信」の度合いも探るため、最も強い賛成・信頼を示す「プラス(+)3」から最も強い反対・不信を示す「マイナス(-)3」の7段階で回答を得た。

 聞き取りは、賛成・反対の予断を持たずに進めるため、主に街頭で性別や年代の偏りが出ないように声かけをして進めた。戸別訪問で聞いた際も政党のポスターなどが掲示されている家は避けた。

 100人(男女各50人)に聞いた結果は「辺野古反対」が45人。「容認」の人を含んだ「賛成」の39人を上回った。賛否の段階別では、最も強い反対を示す「―3」を選んだ人が最多の33人だった。さらに、「普天間の早期返還のため」という政府説明については、「信頼しない」が55人で過半数。「信頼する」の19人を大きく上回った。

 図は100人の意識分布をまとめたものだ。

 表の丸数字は人数。左上の集まりは「辺野古賛成・政府説明を信頼」、右下の集まりは「辺野古反対・政府説明を信頼しない」のグループで、中心部は「どちらとも言えない」のグループだ。右下に集中しており「辺野古移設に反対」「政府の説明は信頼しない」とする人が多い。米軍普天間基地周辺住民の政府への不信感の強さを示している。

 調査は正式なアンケート調査ではない。ただ、100人の住民との対話を通して見えてくるのは、米軍普天間飛行場の辺野古移設に賛成か反対かの二項対立ではなく、長年続く米軍基地の負担や政治問題として取り沙汰されるはざまで市民の考え方が多様なグラデーションを描いていることだ。

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