20日に着手された護岸造成工事は、軟弱地盤が広がる大浦湾側で、設計変更に基づく初の本体工事着手となった。政府は工期について今年1月の海上ヤード造成工事着手を起点に9年3カ月、完成までに12年を要すると説明している。普天間飛行場の返還時期は明確にしていない。
今回着手した埋め立て予定地北側の「A護岸」は埋め立て地の外周を形成する工事だ。「鋼管矢板」と呼ばれる金属製のくいを打ち込み、その間に海砂を詰め込んで護岸を造る。防衛省によると、目印となる「導ぐい」を仮で打ち込み、それを目安に本ぐいとして鋼管矢板を打ち込んでいく。20日に打ち込んだ2本は導ぐいという。A護岸の工期は約4年を見込む。整備予定地の一部に海底に軟弱地盤があるため、地盤改良工事も予定している。
埋め立て区域を区切る中仕切り護岸「N1」と「N2」は石材を積み重ねて形成する。延長した先に海から土砂を陸揚げするための揚土場を整備することで、工事の加速を狙う。
大浦湾では地盤改良工事のために砂などで造ったくい約7万1千本を打ち込む予定。主に護岸直下は締め固めながら砂ぐいを打ち込むサンドコンパクションパイル(SCP)工法で強度を高め、埋め立て区域は比較的緩やかに水分を抜いていくサンドドレーン(SD)工法などで対応する。
今回着手した護岸は一部で、他にも大浦湾側で護岸整備を予定している。護岸で形成された区域に土砂を投入して埋め立てていく。一部、護岸を閉じきる前に土砂を投入する計画もある。
(明真南斗、與那原采恵)