「お菓子のデパート」を掲げた黄色い建物には、駄菓子やくじなどが並び、時代が変わっても地域の子どもたちが集う。名護市大南の菓子卸・小売の「上間商事」(通称・おきこやー)が8月、創業65年を迎えた。同市安和出身の上間良光さん(83)が代表を務め、その傍らでは妻・清子さん(84)が支えてきた。4日には家族や従業員、取引先が集まり、お祝いが開かれた。
上間商事は、良光さんが弟の稔さん(80)と1959年8月5日、現在の店舗の近くで開業した。現在のオキコ(西原町)の前身となる、菓子製造「沖縄興業」などから、菓子を仕入れて、北部地域の店舗に卸していたという。清子さんとの結婚を機に、小売りを始めた。店の外に書かれた「オキコ」の文字が目立ったこともあり「おきこやー」と呼ばれ、親しまれてきた。
地域や取引先に支えられながら、夫婦で6人の子を育て、現在ではひ孫を合わせて45人の大家族になった。特別なことがあるたびに集い、写真を撮ることが恒例行事だという仲良しの一族だ。
創業から65年を迎えたことを記念し、孫の奈沙さん(34)が中心となって、孫世代が「おきこやー」を描いたエコバッグも作製した。客に限定でプレゼントするという。奈沙さんは「『何かをやってあげたい』というDNAが祖父母から受け継がれていると思う。孫たちでできることを考えた」と話す。
曲折を経て、続けてきた店には、大人になった利用客が子どもを連れて、顔を出すこともあるという。良光さんは「あっという間の65年。前にも来たよ、と言われることがうれしく、一生懸命やってきてよかった」と話した。子育てしながら、店を切り盛りしてきた清子さんは「いろいろあったよ」としみじみ語った。恒例となった記念撮影で、夫婦は家族に囲まれ、幸せそうにほほえんだ。
(池田哲平)