NHKの連続テレビ小説「ちむどんどん」の放送が11日から始まる。沖縄の本土復帰50年に合わせた同作は、「ちゅらさん」(2001年)以来、21年ぶりに沖縄がメインの舞台となる。ヒロイン比嘉暢子(のぶこ)役を黒島結菜、暢子の母・優子役を仲間由紀恵が務める。脚本はNHK連続テレビ小説「マッサン」を手掛けた羽原大介氏。同作に込めた思いを聞いた。
(聞き手・藤村謙吾)
▼「沖縄知って好きになって」仲間由紀恵さん 朝ドラ「ちむどんどん」ヒロイン母役
▼「琉球の文化もっと知りたい」黒島結菜さん 朝ドラ「ちむどんどん」ヒロイン
―「ちむどんどん」の脚本執筆に当たり、どのような取材をしたのか。
「南部戦跡や平和の礎、普天間基地が見える嘉数高台、物語の舞台になるやんばるなどを見て回った。大宜味村では、復帰当時を知る方に話を聞いた。新型コロナウイルス感染症の影響であまり沖縄に行けず、直接人に会うのが難しかった。そのため、1960年代から70年代を知る方々約30人にアンケート形式で、やんばるの暮らしぶりを教えてもらった」
―本作の脚本で、何を心掛けたのか。
「沖縄は他の地域より、歴史を扱う上でデリケートな問題を抱えている。(NHKとの)打ち合わせで『米軍基地の問題などは復帰50年に合わせ、NHKに限らずいろいろな番組が取り上げて放送する。私たちが平日朝8時から多くの視聴者に見てもらう番組をつくるに当たり、負の歴史ではなく、その時代をたくましく生きてきた家族を通して、今につながる、お茶の間が元気になるような話をつくろう』と決めた」
―脚本執筆で大切にしていることは何か。
「オリジナルドラマや映画を書くときは、普遍的な人間ドラマを真ん中に置きたいと思っている。コンプレックスを抱いていたりとか、うまくいかないことがあったりする人たちが、ちょっとでも元気になってくれる物語をつくりたい」
―脚本だけでも、映像が頭に浮かぶ。
「井筒和幸監督と仕事をした際に、『(脚本は)シナリオになじみのない人が読んでも、何をやりたいシーンで、そのためにどういう準備をしたら良いのかが分かるための設計図なんだ』と言われた。常にその言葉を意識している」
―放送開始に向けて。
「藤木勇人さんによる、徹底的なうちなーぐちの指導があり、『うちなーぐち偏差値』が高い作品になっている。黒島結菜さん、仲間由紀恵さんという、2人のうちなーんちゅが登場人物の核にいて、手を抜けない雰囲気もあったと思う。登場人物の皆さんも緊張感を持ち、頑張ってくれている。沖縄が右側通行だったことやドルを使っていたことは、読んだり聞いたりして知識はあるが、実際にそれが絵(映像)になると、書いた本人でも、驚きがあった。日本中の視聴者も同じように思ってくれると、期待している」
羽原大介
はばら・だいすけ 1964年生まれ、鳥取県出身。芸能プロダクションのマネジャーを経て、演出家つかこうへいに師事。2006年「パッチギ!」(井筒和幸監督)、07年「フラガール」(李相日監督)で、日本アカデミー賞優秀脚本賞受賞。NHKでは「マッサン」や「こもりびと」などを執筆。
【関連ニュース】
▼【写真特集】黒島結菜、川口春奈、上白石萌歌、竜星涼が勢揃い!朝ドラ「ちむどんどん」ロケ
▼朝ドラ「ちむどんどん」ってどんなスト-リー?登場人物も紹介!
▼「ちむどんどん」沖縄ロケ進む 黒島結菜さんら4きょうだい、初めてそろう
▼この人も?沖縄出身の女優たち ガッキー、比嘉愛未、仲間由紀恵…まだまだたくさん!
▼「おかえりモネ」と沖縄戦 その場にいなかった苦しみ、橋を渡ること