「書評」の記事一覧
<書評>『清ら星―伝統組踊の立方』 役者を通し写真で親しむ
本書は2021年から約1年半、琉球新報芸能面で連載した本書題名の写真企画を基に、加筆修正したものである。写真は琉球芸能の撮影を多く手掛ける大城洋平氏、役者への ...
<書評>『資料集 沖縄青年同盟』 続く同化と異化による支配
「日本に武力併合で国を奪われ、皇民化教育と同化政策がもたらされ、戦時中は集団強制死で命を落とさなければならなかった人がいて、4人に一人が戦死した。それなのにな ...
<書評>『沖縄のもあい大研究』 時代と共に変わる意味合い
「モアイ」の良さとはなんだろうか。その言葉は知っていたが、私も両親もやっていない。なんとなく居酒屋で飲み食いしている様子を思い浮かべるが、それだけではないらし ...
<書評>『校註 尚家本 喜安日記』 他の写本と比較、読みやすく
本書は1609年の島津氏による琉球侵攻を、琉球側から描いた貴重史料『喜安(きあん)日記』を翻刻したものである(附属して年譜・論考も所収)。なお、喜安日記はすで ...
<書評>『句集 交叉』 自然の本質捉える独創性
筒井慶夏の初句集『交叉』が上梓された。著者は「私たちは一刻一刻、何かと交叉しながら生きている。何気なく見たり感じたりしたことが、ふとした瞬間強く意識され五七五 ...
<書評>女たちが語る歴史 下 沖縄篇 うない〈女性〉の記録 暮らし通して知る近代史
川田文子さんと言えば、日本軍「慰安婦」問題を掘り起こし、沖縄における「慰安婦」研究のきっかけをつくった方だと想起される人は多いだろう。しかし、彼女の沖縄とのつ ...
<書評>『俳句の地平を拓く 沖縄から俳句文学の自立を問う』 俳人の壮絶な人生の軌跡
著者野ざらし延男が与える二度目の大きな衝撃が本書だ。もちろん一度目は『沖縄俳句総集』(1981年)の出版である。20年の歳月を費やして戦前から戦後までの海外の ...
<書評>『増補改訂宮良長包作品全集 宮良長包作品解説全集』 蘇った精神活動の所産
「沖縄近代音楽の父」宮良長包は明治16年(1883年)に生まれた。今年は生誕140年に当たり、記念のコンサートやコンクールなどが開催された。「沖縄近代音楽の父 ...
<書評>『伊波月城集〈近代沖縄〉言論人の航跡』 ユーモアと熱い言葉と
この本に出合うまで、私は伊波月城について「伊波普猷の弟」という程度の認識だった。 本書は、2007年にスタートした伊波月城研究会が10年以上かけて、様々なペ ...
<書評>『沖縄文学の沃野』 豊穣の歴史の諸様相描く
沖縄近代文学研究の第一人者である著者の、長年の研究成果を収録した一冊である。その内容は明治、大正、昭和期に創作された歌劇、小説、短歌を取り上げ、その諸様相を解 ...
<書評>『宮里邦雄 かく語りき 労働運動・沖縄・平和』 沖縄の痛み軽減こそ「公益」
「団結なくして勝利なし、団結なくして解決なし」と労働裁判の先頭に立って闘ってきた、わが沖縄出身の宮里邦雄弁護士が今年2月5日に亡くなられた。享年83歳だった。 ...
<書評>『聞書・中城人たちが見た沖縄戦』 追悼と回想ともにする空間
2023/11/26
#書評
沖縄戦の体験者が次々と亡くなる中、新たな記録が刊行された。中城村津覇の証言を中心に、「針の穴から抜け出るようにして生き残った」人々の記憶を整理し考察したもので ...
<書評>『沖縄の海風そよぐやさしい暮らし365日』 やさしくて新しい歳時記
ページをめくると次々と現れる心安らぐ風景。沖縄で生まれて那覇でずっと過ごしてきたぼくは、少し戸惑ってしまう。この沖縄は、今ぼくが住んでいる沖縄と同じなんだろう ...
<書評>『豊里友行写真集 那覇市第一牧志公設市場』 子どもたちに重ねる未来
著者、豊里友行は1976年、沖縄市で生まれた。コザ高校で野ざらし延男に俳句を学び、俳人として今に至る。1999年に東京渋谷の日本写真芸術専門学校を卒業し、その ...
<書評>『沖縄ともろさわようこ』 世界に通用する答えはある
「希望を持ちたい」と読み進むうちに思った。凄絶(せいぜつ)な沖縄女性たちの鬱積(うっせき)する社会問題を、張り切って考え動く気力は今の自分には薄れ、大したこと ...
<書評>『海と大地と共同の力 反CTS金武湾闘争史』 沖縄の将来構想に示唆
収録された座談会と論考、整理された資料には、一人びとりが魅力的で、個性あふれる漁民、住民のエピソードが紹介されている。女性、お年寄りが重要な役割を担った。離島 ...
<書評>『国立台湾大学図書館典蔵 琉歌大観 第1~4巻』 琉球文学の枠組みの出発
本書の主編者の池宮正治が「幻の琉歌集 笑古本『琉歌大観』」を新聞に発表したのは、1986年である。「幻の琉歌集」には、池宮の驚きと期待が溢(あふ)れていた。そ ...
<書評>『沖縄山原/統治と抵抗 戦後北部東海岸をめぐる軍政・開発・社会運動』 「高江」を社会学的に分析
「国は今、金と権力を使って、行政という権力の上に、さらに司法という権力を用いて、自らの強引なやり方を押し通そうとしている」。この発言を、辺野古新基地の設計変更 ...
<書評>『同盟は家臣ではない―日本独自の安全保障について』 真の「主権者」へ覚醒促す
「米軍が日本を守る」は幻想。米国の「核の傘」はない―。筆者は本書で、そう言い切る。 加えてウクライナ戦争での米国の狙いは自ら直接戦場に出ることなく「ウクライ ...
<書評>『有内麗のスピリチュアルな冒険』 「おもろ」人の精神世界
著者は「祈りの心は、時空を超えてその場所に積もっている」という。しかし、あちら側(ユタなどシャーマンのスピリチュアルな世界)の住人ではない。こちら側との境界線 ...
<書評>『蝶の伝言(イェー)』 野球に打ち込む少年の葛藤
蝶(チョウ)はふしぎな逸話をもつ生物である。ギリシャでは蝶を「プシュケ」といい、「霊魂」や「不死」の意味である「プシュケー」が由来らしい。中国では長寿のシンボ ...
<書評>『日本の詩の諸相』 詩語の価値伝えたい使命感
網谷厚子氏は中古文学の優れた研究者であり、鮮やかな詩語を駆使する現代詩人でもある。この本では、「諸相」というタイトルそのままに、多岐にわたる網谷氏の論考にまず ...
<書評>『究極の沖縄農業と新しい観光』 高付加価値化を展望
現在、東京銀座・有楽町周辺には20を超える全国各地方の物産を扱う「アンテナショップ」がある。1994年、その先駆けとなったのが「銀座わしたショップ」だ。その生 ...
<書評>『我が内なる沖縄、そして日本』 自分史超えた昭和・平成史
著者は、1948年生まれの「団塊の世代」。元NHKマンである。44年間の長きにわたって番組制作に携わった。前著「沖縄・国際通り物語~『奇跡』と呼ばれた一マイル ...
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