「書評」の記事一覧
<書評>『聞書・中城人たちが見た沖縄戦』 追悼と回想ともにする空間
2023/11/26
#書評
沖縄戦の体験者が次々と亡くなる中、新たな記録が刊行された。中城村津覇の証言を中心に、「針の穴から抜け出るようにして生き残った」人々の記憶を整理し考察したもので ...
<書評>『沖縄の海風そよぐやさしい暮らし365日』 やさしくて新しい歳時記
ページをめくると次々と現れる心安らぐ風景。沖縄で生まれて那覇でずっと過ごしてきたぼくは、少し戸惑ってしまう。この沖縄は、今ぼくが住んでいる沖縄と同じなんだろう ...
<書評>『豊里友行写真集 那覇市第一牧志公設市場』 子どもたちに重ねる未来
著者、豊里友行は1976年、沖縄市で生まれた。コザ高校で野ざらし延男に俳句を学び、俳人として今に至る。1999年に東京渋谷の日本写真芸術専門学校を卒業し、その ...
<書評>『沖縄ともろさわようこ』 世界に通用する答えはある
「希望を持ちたい」と読み進むうちに思った。凄絶(せいぜつ)な沖縄女性たちの鬱積(うっせき)する社会問題を、張り切って考え動く気力は今の自分には薄れ、大したこと ...
<書評>『海と大地と共同の力 反CTS金武湾闘争史』 沖縄の将来構想に示唆
収録された座談会と論考、整理された資料には、一人びとりが魅力的で、個性あふれる漁民、住民のエピソードが紹介されている。女性、お年寄りが重要な役割を担った。離島 ...
<書評>『国立台湾大学図書館典蔵 琉歌大観 第1~4巻』 琉球文学の枠組みの出発
本書の主編者の池宮正治が「幻の琉歌集 笑古本『琉歌大観』」を新聞に発表したのは、1986年である。「幻の琉歌集」には、池宮の驚きと期待が溢(あふ)れていた。そ ...
<書評>『沖縄山原/統治と抵抗 戦後北部東海岸をめぐる軍政・開発・社会運動』 「高江」を社会学的に分析
「国は今、金と権力を使って、行政という権力の上に、さらに司法という権力を用いて、自らの強引なやり方を押し通そうとしている」。この発言を、辺野古新基地の設計変更 ...
<書評>『同盟は家臣ではない―日本独自の安全保障について』 真の「主権者」へ覚醒促す
「米軍が日本を守る」は幻想。米国の「核の傘」はない―。筆者は本書で、そう言い切る。 加えてウクライナ戦争での米国の狙いは自ら直接戦場に出ることなく「ウクライ ...
<書評>『有内麗のスピリチュアルな冒険』 「おもろ」人の精神世界
著者は「祈りの心は、時空を超えてその場所に積もっている」という。しかし、あちら側(ユタなどシャーマンのスピリチュアルな世界)の住人ではない。こちら側との境界線 ...
<書評>『蝶の伝言(イェー)』 野球に打ち込む少年の葛藤
蝶(チョウ)はふしぎな逸話をもつ生物である。ギリシャでは蝶を「プシュケ」といい、「霊魂」や「不死」の意味である「プシュケー」が由来らしい。中国では長寿のシンボ ...
<書評>『日本の詩の諸相』 詩語の価値伝えたい使命感
網谷厚子氏は中古文学の優れた研究者であり、鮮やかな詩語を駆使する現代詩人でもある。この本では、「諸相」というタイトルそのままに、多岐にわたる網谷氏の論考にまず ...
<書評>『究極の沖縄農業と新しい観光』 高付加価値化を展望
現在、東京銀座・有楽町周辺には20を超える全国各地方の物産を扱う「アンテナショップ」がある。1994年、その先駆けとなったのが「銀座わしたショップ」だ。その生 ...
<書評>『我が内なる沖縄、そして日本』 自分史超えた昭和・平成史
著者は、1948年生まれの「団塊の世代」。元NHKマンである。44年間の長きにわたって番組制作に携わった。前著「沖縄・国際通り物語~『奇跡』と呼ばれた一マイル ...
<書評>『琉球の祭祀植物の研究』 「植物民俗学」の基礎になる書
2023/09/17
#書評
神を祭る祭祀(さいし)でカミンチュなどが身にまとう植物にはどのような意味があるのだろうか。超自然的存在である神々に対して人間が働きかけを行う点に祭祀の本質があ ...
<書評>『「沖縄1972年」考 返還・復帰・再併合』 生き様と重なり合う覚悟
「復帰」を思い起こし、祝い、語り、問うことは、沖縄(琉球)と日本(ヤマト)との植民地主義の歴史に斬りこむことも、また逆に正当化し再生産もし得る、政治的・文化的 ...
<書評>『相思樹の歌』 戦時下の若者にはせる想い
「こころならずも生き残ってしまったという慚愧(ざんき)の念にも襲われた自分をもてあました」と語る主人公・片岡草志。鉄血勤皇隊として地獄の果てを経験し、見てはな ...
<書評>『沈黙に向き合う 沖縄戦聞き取り47年』 地を這う調査で現代史照射
石原昌家氏の研究は、社会学の強固な基盤の上に、地を這(は)うような沖縄戦の聞き取り調査を構築し、そこから沖縄の現代史を多面的に照射する、例のない大きな山を築い ...
<書評>『西洋の護符と呪い』 非科学とわかっていても
2023/09/02
#書評
『西洋の護符と呪い』尾形希和子著 八坂書房・2420円 われわれは、長く巨大なパンデミック(世界的大流行)を生き延びた。そのために、多大な犠牲を払ったことはい ...
<書評>『眠る木』 誰かの日常、歴史通して記録
2023/09/02
#書評
『眠る木』上原沙也加著 赤々舎・4950円 私の部屋の壁には上原沙也加の写真が1枚かかっている。昨年、那覇での個展の際に求めたものだ。しかしわたしはそれを「所 ...
<書評>『教養としての「病」』 医者と患者の共同体
2023/08/26
#書評
『教養としての「病」』佐藤優、片岡浩史著 集英社・1034円 「自己意識は沖縄人」と言い切り、本紙ではその視点から健筆を振るう佐藤優氏。前立腺がんや慢性腎臓病 ...
<書評>『島嶼左翼はどこへゆく―沖縄的言説風景』 内容多岐、思想の現在の書
2023/08/26
#書評
『島嶼左翼はどこへゆく―沖縄的言説風景』宮城正勝著 ボーダーインク・3960円 著者のあとがきに「本書でぼくは、一部の知識人のことを「島嶼左翼」とか「否定知識 ...
<書評>『沖縄文学は何を表現してきたか なぜ書くか、何を書くか』 「書く」ことへの思いを知る
2023/08/19
#書評
『沖縄文学は何を表現してきたか なぜ書くか、何を書くか』又吉栄喜・大城貞俊・崎浜慎編 インパクト出版会・2750円 沖縄文学作品のアンソロジーは数多くあるが、 ...
<書評>『DOHaD学説で学ぶ胎児・赤ちゃんから始める 生活習慣病の予防』 子が健康に育つ社会願う
2023/08/19
#書評
『DOHaD学説で学ぶ胎児・赤ちゃんから始める 生活習慣病の予防』安次嶺馨著 幻冬舎・1650円 DOHaD(ドーハッド)とは多くの研究者によって導かれた生活 ...
<書評>『琉球文学大系2 おもろさうし 下』 鑑賞するための多様な視点
2023/08/12
#書評
『琉球文学大系2 おもろさうし 下』名桜大「琉球文学大系」編集刊行委員会編さん 波照間永吉校注 ゆまに書房・6820円 本書解説の「オモロの“場”と歌唱者」に ...
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